コラム:進化への準備 | ユベントス・ジャーナル

コラム:進化への準備

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 現地時間の6月3日。今から一ヶ月前、ユベントスとユベンティーノたちはUCL(欧州チャンピオンズリーグ)制覇という夢をみていた。

 だが、ファイナリストの欧州王者レアル・マドリードはしたたかで、そして想像を超えるほどに屈強だった。21年ぶりの欧州制覇の夢を抱え、意気揚々と決勝戦の地カーディフに乗り込んだユベントスはディフェンディングチャンピオンに完膚なきまでに叩き潰された印象が濃い。

 2年ぶりのファイナル進出の経験では物足りず、国内リーグ6連覇も国内カップ3連覇の偉業も霞むほど、打ちのめされて2016/17シーズンの幕を閉じる結果となった。

 試合後、おおくのコメントを目にするなか、チームを率いるマッシミリアーノ・アッレグリのコメントに“敗因”が集約されている気がしてならない。指揮官は決勝戦のハーフタイムでのロッカールームをふり返っている。

 イタリア紙『コリエレ・デッロ・スポルト』に「(マリオ)マンジュキッチは足首がひどく腫れ、手当を受けていた。(ミラレム)ピアニッチは膝の炎症を抱えて横たわり、ピッチに戻りたがらなかった」コメントしている。

 決勝戦はユベントスのコンディションが理想的ではなかったにせよ、主力陣のターンオーバーに成功できるほどの選手層をもったレアル・マドリーが勝利に近かったのは当然かもしれない。

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 だが、この敗因もアッレグリはこれから始まる2017/18シーズンに生かすはずだ。昨シーズン途中の1月から4-2-3-1のシステム変更により“成功”を引き寄せたのは周知の事実となっている。

 新シーズンが始まるうえで成功を収めた4-2-3-1に照らし合わせた選手選考、戦術に合わせた新戦力の獲得ができるのは言うまでもなくチームにとって大きなアドバンテージとなる。

 ただ、残念なのはUCL決勝戦進出に大きく貢献したDFダニエウ・アウベスの退団だろう。きっかけとなったのはディバラへの「進言」とされているが、真実は本人とユベントスのフロントのみが知り得る事柄だろう。

 どの世界のニュースも聞き手の書き方次第で、印象がすべては変わってしまう。ただアウベス自身もフォローが遅かったのは否めない。ニュースが出た翌日にでも「そうは言ってない」とでもメディアに発すれば状況は変わった可能性があるだけに残念でならない。

 論争をふたたび蒸し返すつもりは毛頭ない。たが当人も後悔し、ユベントスに感謝しているのは確かだ(記事『ダニ・アウベスと決別か』より)。昨シーズンの功労者の今後を、温かく見守るユベンティーノが増えることを切に願いたい。

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 話は戻るが、欧州王者になれなかった代償は大きい。今夏も戦力の引き抜きを避けられないのはその大きな要因となる。いまや大黒柱のDFレオナルド・ボヌッチは欧州のビッグクラブから狙われており、新鋭DFアレックス・サンドロも同様である。

 エースのFWパウロ・ディバラも虎視眈々と狙われつづけているのも忘れてはならない。予断を許さない状況は、移籍市場が閉まる8月31日までつづくことになるだろう。

 怯える一方で、楽しみなのが補強である。

 アウベスの抜けた右サイドバックの補強は急務になるが、サンドロを放出した場合、左サイドバックの補強も急ぎたい。ただ、MFポール・ポグバの移籍同様にサンドロを放出した場合、額こそ違うが莫大な収入が予想されるため高騰化する攻撃陣の獲得が可能になる。

 ディバラを助けられる前線の補強は右サイドバック獲得以上にクラブにとって至上命題だろう。レアル・マドリーとの決勝戦の敗因は一つではないが、一つとしてパスコースがディバラに集中したことが挙げられているからだ。

 新戦力は、いまだ交渉が難航するFWドウグラス・コスタなのか、次世代のファンタジスタの呼び声高いイタリア代表MFフェデリコ・ベルナルデスキなのか、現在名前が挙がっていない才能なのか、ユベントスのフロント陣の眼力に懸けるしかない。

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 なかでもファビオ・パラティチSD(スポーツディレクター)は獲得をもくろむ選手の家族と食事会を設けるのはよく知られている。そこで獲得を狙う選手の人間性を判断するようだが、ここまで大きな失敗がないのは驚くべき成果だろう。

 アッレグリは以前、4-2-3-1にシステム変更した理由を「従来のやり方では更なる進化が望めなかった」とコメントしている。その進化を元に昨シーズンの足跡があった。

 進化をさらに進化させるための選手獲得。今シーズンの成功を見据えたアッレグリの意志にジュゼッペ・マロッタGM(ゼネラルマネージャー)とパラティッチがどう応えるか、興味は尽きない。

 UCL決勝戦から一ヶ月が経った。

 煮え切らない、忸怩(じくじ)たる思いを抱きつつも2017/18シーズン開幕は否応なしにやってくる。22年目となる欧州制覇の夢を今一度、胸に抱き新シーズンを迎えても罪や罰にはならない。

 思い返せばUCL決勝戦のメダル授与の際、首にかけられたシルバーメダルを誰よりも早くはずしたのは他でもないアッレグリだ。ユベントス指揮官の怒りは想像に絶するもののはずだ。

 アッレグリの怒りは来たる2017/18シーズン。必ずチームに昇華されるはずだ。

 著者/Juventus Journal 編集部 山口 努

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コメント

*コメントは全て承認制です。確認にお時間を頂くことも御座いますがご了承ください。
  • 山口さん、今回もすばらしいコラムありがとうございました。
    決勝で負け続けていますが、毎度主力選手の消耗があげられます。
    素人の私でも「長いシーズン疲れたよね。」と感じてしまうくらいです。
    それでも、みんな精一杯努力している姿に頭が下がるだけです。

    できればBuffonが現役のうちにとは思いますが、少しずつ企業としての財務力を高め、
    チームとしての魅力を高め、ALVESにも可能性を感じてもらえるようなJuventusになってもらいたい。

    彼の引退に間に合わなかったとしても、いつの日にか、魅力も財務力も欧州一のチームになるよう応援を続けようと思っています。

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    • pipeさん
      毎回、ご拝読ありがとうございます!
      私も今季は、ジジ・ブッフォンのシーズンになることを願ってやみません。
      そのためにベターで、ベストな選手の獲得を期待したいですね!

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  • 失敗から学ぶことは多い。ユヴェントスはまだまだ進化する。
    再びファイナルの舞台に戻ってくる事を我々は信じている。

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