コラム: 真価が問われる「春」 | ユベントス・ジャーナル

コラム: 真価が問われる「春」

コラム: 真価が問われる「春」

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 残りものには福がある。

 ユベンティーニの誰もが、古くからある諺(ことわざ)が虚(むな)しくなるほどのUCL(欧州チャンピオンズリーグ)の抽選結果だったのではなかっただろうか。準々決勝でのユベントスの相手はバルセロナに決まった。

 今シーズンの決勝戦の舞台ウェールズのレジェンドFWイアン・ラッシュ氏がチーム名の書かれた紙の入ったボールを手に取り、次々と開封していく。残された4個のボールを開封した時点でユベントスの名はなかった。

 レアル・マドリード、バイエルン・ミュンヘン、バルセロナ。2014/15シーズンのベスト4と全く同じ顔ぶれが揃う。この時点で勝者に必要不可欠な運からは少し見放されていた。

 だが、先行きの不安を感じさせる不穏な空気は今シーズン、今回だけではなかったはずだ。

 今シーズン開幕から4連勝の末に敗戦していたのは昨シーズンの話ではない。直近だとセリエA第27節、アウェイで迎えたウディネーゼ戦を引き分けると不穏な空気を感じたティフォージは少なくなかったはずだ。

 元ユベントス指揮官ルイジ・デルネーリ監督の術中に嵌(は)まったとはいえ、勝利への意欲と少しのアイデアの欠如は否めなかった。今シーズン初の引き分けに終わり、第28節のホーム・ミラン戦に不安を残す。

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 ミラン戦は後半終了直前の97分にFWパウロ・ディバラの決勝PK弾により辛勝。ホーム連勝記録を「31」に伸ばした。結果的にこの勝利が、ミッドウィークに開催されたUCL、2ndレグのポルト戦に弾みをつけるものになった。

 アウェイでの1stレグを0−2で完勝し、ほぼベスト8進出が決定的だった2ndレグも、42分にまたしてもディバラがPKを決め、チームに安心感をもたらした。その後ゲームをコントロールしたユベントスが2シーズンぶりにベスト8進出を決める。チームはウディネーゼ戦の引き分け後に漂った不安を杞憂(きゆう)に終わらせた。

 今シーズンのユベントスは引き分けがなかった。悪ければ敗戦したが、結果的にその黒星がチームの方向転換を促し、脱皮し、進化しつづけた結果、セリエA新記録を達成し、記録更新中のホーム31連勝を築いてきた。

 しかし、欧州5大リーグ(英、伊、西、独、仏)をみるとトップの記録ではない。トップはバルセロナが1958/59~1959/1960シーズンに打ち立てた39連勝になる。

 奇しくもそのバルセロナとはUCLベスト8での対戦相手だが、ユベントスにとって2年前の決勝戦の相手にリベンジを果たす絶好の機会となる。お互いに当時の主力選手が入れ替わっているが、前評判ではバルセロナが優勢となっている。

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 UCLの抽選直後のTwitterの調査では62%がバルセロナ勝利を支持、ユベントスは38%に留まっている。また、英国メディアの優勝オッズを見るとベスト16で歴史的な大逆転勝利を収めたバルセロナが1位となる2.5倍、ユベントスが9倍である。

 この下馬評を覆すのは簡単なことではないが、今シーズンのUCLは何が起こるか分からない空気がある。

 UEFA(欧州サッカー連盟)のデータ予想ではパリ・サンジェルマンに1stレグで0−4で敗れたバルセロナがベスト8に進出する可能性は「0%」だった。それでも6−1で勝利し、駒を進めている

 ベスト8に進出したレスター・シティ、ASモナコも戦前の予想は50%を切っていたが、前者はセビージャを後者はマンチェスター・シティと、どちらも格上を打ち破っているのは見逃せない事実だ。

 ユベントスはバルセロナ戦を前に強敵ナポリとの二連戦を控える。スクデットに近づく一戦と、コッパ・イタリア決勝戦進出を左右する一戦になる。インターナショナルウィーク明けには、今シーズンを左右する怒涛の4月が幕を開ける。

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 セリエA史上初のスクデット6連覇、コッパ・イタリア3連覇という前人未到の大記録を作るには、薄氷を踏む思いで一歩ずつ確実に進むしかない。そして近年のバルセロナとの一戦は、ビッグゲームとして世界中の目が集まるのは周知の事実である。

 選手個々のクオリティーの面だけを見れば、バルセロナは世界最強の名に相応しいチームなのは誰もが認めるところだ。しかし、2年前のUCL決勝戦で対戦したバルセロナに比べると、現在のユベントスとそこまでの差を感じるだろうか。

 仮にバルセロナを破れば世界中のサッカーファンが抱くユベントスへの印象は大きな変化を及ぼすはずだ。変化とは優勝オッズ1位という陳腐(ちんぷ)なものではなく、欧州での立ち位置に他ならない。

 残りものには福がある。

 その福音はチーム創設以来、脈々と受け継がれてきた勝利への飽くなき執念をもつことによって齎(もたら)されるはずだ。精神論で勝てるほど甘くないが、これから大きな戦術変更をするのは自滅を招く可能性が高い。今シーズンやってきたすべてをもってバルセロナと戦うしか道はないのではないだろうか。

 マッシミリアーノ・アッレグリ監督がチーム率いて3年。これまで獲得できる国内のタイトルすべてを獲得してきた指揮官とチームだが、UCLのタイトルだけには手が届いていない。

 アッレグリ監督と、今シーズンのユベントスの真価が問われる「春」がいよいよ始まろうとしている。

 著者/Juventus Journal 編集部 山口 努

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コメント

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  • 本当にバルセロナ戦が今回のCLのカギになりそう。ここで勝利しfinalまでいきましょう。

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  • この戦いは全くの五分五分だと思います。些細なミスや1回1回のチャンスがものを言うと思います。向こうの方が攻撃面では上手ですが、守備的ではこちらの方が上手。いかにMSNを抑え、攻撃出来るかが勝負だと思います。次のステージに上がるためにも、ユベントススタジアムでの勝利は必須。どのくらいのアドバンテージを持って、カンプノウに行けるかが重要だと思います。理想は3-0,4-0といった所ですが、アウェーゴールを与えずに勝てれば満足、アレッグリもおおよそ同じ事を考えていると思うので、あとはアレッグリがどのようなプラン、戦術を考えてくるか楽しみです。
    一昨年のように5月までハラハラ、ドキドキしたいですね。五分五分の勝負を運を含めた力で、勝てれば優勝が見えて来るので絶対勝ってほしいです。

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  • MSNの破壊力は依然として脅威ですけど、中盤を制圧することができれば無力化できることはパリが証明していますし、アッレグリならしっかりとプランニングしてくれると信じています。

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  • 2ndレグがバルセロナのホームというのがついてないなと思いましたが
    ユヴェントスなら呑まれることなく試合をしてくれると信じています。
    ここでバルセロナを倒したらワールドクラスの選手達も取りやすくなるかも・・・

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  • バルサの劇的な大勝は凄かった。フットボールファンとしては胸を熱くした。そんな歴史的勝利も1stレグの大敗=不安定さがあったからこそ。2年前とは明らかに状況は違う。勝って欧州での復権を!

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    • ユベントスにとっては欧州復権を示す大チャンスだと思っています!

      バルサを倒して、堂々と準決勝に進みたいですね!
      今のユーベなら勝てると信じています!

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