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コラム:挫折と苦難の先に

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 連覇をかけたスーペルコッパ・イタリアーナ2016/17は、120分を終えて1−1のままPK戦に突入。5人目を任されたFWパウロ・ディバラは失敗し、ミランがPKを成功させタイトルを逃すと、ユベントスの若きエースはユニフォームを噛み締め、ひと目をはばからず涙を流した。

 天才には挫折が必要だということは、どのスポーツ競技にも共通する事柄だろう。ことサッカー界においては、より顕著に見え隠れするのは気のせいではないはずだ。

 アルゼンチンが生んだ不出世の天才MFディエゴ・マラドーナは1978年、若干17歳ながら母国で開催されるワールドカップの候補メンバーに選出されるも、「経験不足」を理由に落選した。

 そのことがよほど悔しかったからか、後年「人生に永遠に残る、決定的な、一番大きな失望だった」と語ったのはよく知られている。その翌年、日本で開催されたワールドユース選手権を制覇。アルゼンチンに初の栄冠をもたらし、失望から這(は)い上がってみせた。

 その後マラドーナは、待ち受けた多くの挫折と失望を原動力にするかのように輝き、現在ではサッカー界の伝説にまで駆け上がった。その足跡はアルゼンチン国民だけでなく、イタリア・ナポリ市民にも多くの歓喜をもたらした。晩年こそ輝かしい経歴を汚したが、現在でも話題に事欠かない存在になっている。

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 マラドーナが現役を引退し、幾人もの後継者の名が世に出たものの現在ではFWリオネル・メッシがその重責を背負っている。その後継者にはディバラの名が挙がっているのは周知の事実だ。

 一発勝負のスーペルコッパ・イタリアーナの下馬評は、セリエA首位を快走するユベントス優位は揺るがず、会場となったドーハへはミランが飛行機トラブルのため、入国が遅れた。そのため“優位”に拍車がかかる。

 だが、ヴィンチェンツォ・モンテッラ監督率いる新星ミランに、またしても勝利を納めることができなかったのは、現在では揺るがしようのない事実となっている。

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 DFレオナルド・ボヌッチ不在、リーグ戦、UCL(欧州チャンピオンズリーグ)といったシーズンの疲労を考慮したとしても、かつての勢いを取り戻しつつあるミランは、今後も壁としてユベントスの前に立ちはだかりそうだ。

 タイトルを逃したものの、ポジティブに考えれば、強敵や難敵がセリエAにいればチームが勝負強くなるのは当然だし、カルチョ復権を考えればリーグのレベルアップは必要不可欠になってくる。

 現在セリエAではどのチームも「STOP THE JUVENTUS」を掲げているのは周知の事実となっている。前人未到の6連覇に邁進するチームに休息はない。その環境の中で勝ち切ることでこそ勝負強くもなり、カルチョ復権の礎(いしずえ)にもなるはずだ。

 異なる視点で見れば、イタリア勢の欧州での脆弱(ぜいじゃく)さはリーグのレベル低下と直結していると考えても過言ではない。連覇中の王者を苦しめるチームが多く出現すれば、リーグのレベルを高くし、相乗効果としてユベントスそのものも強くするはずだ。

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 さて、新年を迎え、2月にはUCL決勝トーナメントが開幕を迎える。

 言うまでもなくユベントスの2016/17シーズンが問われる戦いとなる。ベスト16ではポルトとの対戦が決まり、レアル・マドリー、バイエルン・ミュンヘン、マンチェスター・シティ、パリ・サンジェルマンを避けられただけでも、勝者に必要な「運」は持ち合わせているように感じるが、安心はできない。

 コンペティションこそ違うが2013/14シーズンのEL(ヨーロッパリーグ)を今一度思い返す必要がある。このシーズン、UCLグループリーグで3位になったユベントスはELに参戦。

 決勝戦の舞台がユベントス・スタジアムだったこともあり、否が応でもFWロベルト・バッジョを擁して獲得した1992/93シーズン以来の“欧州制覇”の期待感が漂っていた。チームは順調な勝ち上がりをみせ準決勝に進出。相手はポルトガル勢のベンフィカだった。

 楽勝ムードすら漂ったがリスボンで行われた1stレグを2−1で落とすと2ndレグを0−0と痛恨のスコアレスドローに終わり、失意のシーズンを味わったのを覚えている方も少なくないはずだ。

 このシーズンが終わるとアントニオ・コンテ監督が電撃辞任、後任としてマッシミリアーノ・アッレグリ監督がチームを率い、就任1年目でUCL FINALの舞台まで導き、ユベンティーノの心を鷲(わし)づかみにした。

 欧州でようやくあるべき姿に戻り、国内では他の追随を許さないユベントスも、今シーズンは選手の高齢化や怪我人の多さが目立つようになり、いまだファンに自信を持たせる状況には至っていない。スーペルコッパ・イタリアーナを逃したのも不安を増長させるものになった。

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image@Mundo D – La Voz del Interior

 しかし、マラドーナが、バッジョが、流した涙をのちのキャリアの糧にしたように、2017年のディバラの足跡には注視したい。23歳にして違いをみせつけるだけの才能を秘めているのは誰の目にも明らかなはずだ。

 ディバラはスーペルコッパ・イタリアーナの銀メダルを首にかけられると、表彰式に用意された壇上を降りる間もなく即座に、むしり取るようにそれを外しているのは見逃せない。

 前人未到となるセリエA6連覇、コッパ・イタリア3連覇、21年ぶりとなるUCL制覇、確固たる自信はなくとも、悔しさを味わい、ユベントスのエースの涙で終わった2016年を考えると2017年に馳せる想いは“大きなもの”を期待してしまう。

 21年ぶりの欧州制覇…。ユベントスにとって特別な背番号「21」。現在その背番号を背負っているのがディバラなのは、偶然にしては出来すぎた話だ。だが、“よく出来すぎた話”を期待してしまうのが「ファン心理」というものではないだろうか。

 著者/Juventus Journal 編集部 山口 努

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コメント

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  • CFイグアイン、マンジュキッチ
    SSディバラ、ピアツァ
    RWクアドラード

    PMピアニッチ
    WHケディラ、ストゥラーロ、(リンコン)、(レミナ)
    CHマルキジオ、(エルナネス)

    LSサンドロ、(エブラ)、(アサモア)
    RSアウベス、(リヒトシュタイナー)
    CBボヌッチ、バルザーリ、キエリーニ、ルガーニ、(ベナティア)

    GKブッフォン、ネット、アウデロ

    • LSコラシナツ
      RSデチェリエ、ダルミアン
      WHヴェラッティ、ラキティッチ
      CHエンゾンジ、トリソ
      あたりを何人か取れれば磐石になるだろうな

  • コースもきわどくとめられた。若さが出たドンナルンマは流石、瞬発力ではブッフォン以上だと思う。もっとイグアインに頼っていいと思うgoalきめる能力ならディバラはまだ彼に及ばないし。ここぞっていう時も決めてくれてるし。CLはこういう状況できめなくては
    モラタだったんだよねこういう時

    • ディバラはこれからに期待!という選手だと思っています。おっしゃる通り、決定力はまだまだ伸びしろがありますし、キラリと光る瞬間がディバラには多く感じられますよね。

  • ディバラのような選手はそうそう見つからないので
    彼がいるうちにCLのタイトルをブッフォンに掲げさせて欲しいなぁ
    おそらく5年後は全く別のチームになっているだろうし
    今のDF、GK陣が好きなのでなおさらにね

    • 5年後のユーベ…守備陣の総入れ替え…

      どんなチームになっているのか、なかなか想像できませんね苦笑
      ただ、その中心にはディバラやストゥラーロ、ルガーニがいて欲しいですね

  • 連携からシュートまではいいんだけど決まらない。CLトーナメントまでは仕上げてほしい。去年の方がやりやすかったみたいだね。後半戦追い上げのユベントスに期待する