コラム:ピッチ上に還元される”哲学” | ユベントス・ジャーナル

コラム:ピッチ上に還元される”哲学”

コラム:ピッチ上に還元される”哲学”

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 “サイクル”
 これはクラブが掲げる中長期目標や監督・コーチ・選手のメンバー構成によって生まれるピーク期を示した“波”である。もちろん選手個人のキャリアでも “サイクル”は存在するが、ここではクラブの“サイクル”に着目し、今シーズンがどのような立ち位置にあるのかを振り返ってみる。

 あの欧州の舞台でファイナリストまでのぼりつめた14-15シーズンから2年が経ち、迎えた今シーズンは夏の移籍市場にてナポリからイグアインを9000万ユーロ(約104億4000万円)、ローマからピャニッチを3200万ユーロ(約38億3000万円)で引き抜くなどワールドクラスの選手に大金を投じ、例年では見られないような大型補強を敢行した。

 現在のユベントスの選手の平均年齢は比較的に高くなっており、特に鉄壁のディフェンスラインを構成しているブッフォン、キエッリーニ、ボヌッチ、バルザーリの平均年齢は約34歳、平均クラブ在籍年数が約10年と完全にベテランの域に達している(「コラム:”来季こそは欧州制覇を”」より)。

 その38歳のブッフォンは2018年のロシアW杯を最後に現役引退する可能性が高く、ディフェンスラインの高齢化と合わせて考慮すると17-18シーズンでひとつのサイクルが終わるという見方もできる。もちろんフロントは守備陣の世代交代が間近に迫っていることを認識しており、例年通り注目の若手選手発掘に注力している。

 ただ、それでもバイエルンからベナティア、バルセロナからダニエウ・アウベスという決して若くはないDFの即戦力を獲得したことは17-18シーズンまでの2年間を勝負の年と位置付けているというメッセージに当たる。

 スクデット6連覇、コッパイタリア3連覇を前提条件とした上で95-96シーズン以来のチャンピオンズリーグ制覇を目指すことができるだけのスカッド(メンバー)をフロントは揃えたのだ。

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 「ブッフォンが引退するまでにCL制覇を」

 フロント、選手だけでなく、サポーター全員が願っているだろう。ただここで1つ疑問に思うことがある。なぜここまでメンバーを揃えたにも関わらず、今シーズンの戦いぶりを見ていると複雑な感情を抱かざるを得ないのか。「今シーズンもチャンピオンズリーグで結果を出すのは厳しいのでは」と思っているサポーターも少なくないはずだ。

 もちろん、アッレグリが戦術を模索段階であることや、昨シーズンほどではないが怪我人の多さに悩まされていること、メルカートで純粋なレジスタの能力を兼ね備えている選手を獲得できなかったなど、様々な要因はあるだろう。

 しかしここで取り上げたいことはユベントスがカルチョポリでセリエBに降格し、どん底から這い上がって来た時期や、ユベントススタジアムが完成し、コンテ監督によってセリエAで復権を果たした時期など各サイクルにおいてクラブを取り巻く状況が違っても共有され続けてきた「普遍的なフィロソフィ(哲学)」だ。

 今シーズンのセリエA第9節のミラン戦で、その「フィロソフィ」について強く意識するシーンがあった。

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 まだ記憶に新しいと感じるサポーターは多いだろう。この試合では前半にピャニッチのFKが直接決まり、一度はゴールが認められたが、このFKのシーンでボールに関与したボヌッチの位置がオフサイドと判定されゴールは取り消された。しかしリプレイ映像を見るとボヌッチの位置はオンサイドであり、試合終了後に審判団を批判するコメントが出るなどメディア騒動に発展した。

 ピャニッチがあのゴール取り消し以降ピッチ上で試合に馴染めていないと感じた。確かに試合中の誤審ですぐに気持ちを切り替えるのは難しいかもしれない。しかし試合後にバルザーリがコメントしていたように残りの60分間をうまくプレーすべきだったと考える必要があったと思う。たとえピッチ上でどんなことが起こっても左右されることなく勝利を掴み取ることがユベントスでは要求されるのだ。

 ここであるブッフォンのコメントを思い出してほしい。昨シーズンの10月末にサッスオーロ戦でリーグ戦4敗目を喫してスクデット獲得へ窮地に立たされた時、発したコメントだ。

 「レフェリーの判定は間違っていたわけじゃないよ。もし間違っていたとしても、それを言い訳にしてはいけない。ユーべはそういったチームではない。確かに我々には今年の夏にいくつかの変化があったと思う。しかし、そんなことは言い訳にしかならないんだよ。このチームにはお互いにフォローできる22、23人の選手がいる。だが、今夜の我々には迷いがあった。」(「記事:ブッフォン「今夜の我々には迷いがあった」」より)

 この試合では前半に退場者を出したが、その判定によって敗れたと批判的なコメントをした新加入の選手が何人か見受けられた。その選手たちに対して試合後ドレッシングルームでブッフォンが「ユベントスのユニフォームを着る本当の意味」を強く説いたのだ。

 その後次節のトリノダービーで劇的な勝利を収めたチームは怒涛の連勝街道を突き進んだが、ブッフォンがこれまで代々に渡って引き継がれてきた「ユベントスの哲学」を浸透させてチームの雰囲気を変えたことが非常に大きかった。

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 かつてテベスやモラタは常に前線からハイプレッシャーをかけ、ハードワークを厭わず、またマンジュキッチはカウンターを受けて敵陣から自陣まで全速力で戻り決定機を阻止した。そしてサポーターのハートをつかんだ。では今シーズン、新戦力のメンバーが「ユベントスのユニフォームを着る本当の意味」を理解してピッチ上に還元するためのターニングポイントはどこになるだろうか。

 代表ウィーク明けの最初の山場は、チャンピオンズリーグ・グループステージでの首位通過をかけたセビージャとの一戦だ。そして12月になるとトリノダービーに加えて、次節にローマ戦も組まれている。

 あくまでも個人的見解であるが、重要な一戦の直後のリーグ戦で、どのような戦い方をするのか注目したい。もしそこで勝ち点を取りこぼすことがあるならば、それこそチームの意識を一つにするためのターニングポイントが設けられるべきだ。

 冒頭でも述べたが、今シーズン、そして来シーズンがチャンピオンズリーグを制覇する最大のチャンスだ。14-15シーズン、あのベルリンで味わった悔しさを払拭し、今度こそブッフォンがビッグイヤーを掲げる姿を見たい。

著者/Juventus Journal 編集部 津田 翔汰
編集/Juventus Journal 代表 @JJ

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コメント

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  • 確かにそろそろ必要ですね。
    アレッグリは、少し若手を慎重に使いますがもうちょっと積極的に使って欲しいです!
    レミナ、マンドラゴラ、ピッチャ、ケーン、ルガーニ、ベンタクール、(ディバラ)など、どれも素質があるのでどんどん使って欲しいです!少しはポッチェティーノを見習う感じで!一昨年もモラタのように若い人が居たわけですし。

    ブッフォンにCLカップを掲げてもらうためにも、今度のセビージャ戦大事ですね!

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    • コメントありがとうございます!
      若手の起用に関連して、昨日のチャンピオンズリーグのセビージャ戦では、ビルドアップの起点になるボヌッチに対するマークがきつかったこともあって個人的にはルガーニが良い仕事をしてくれたと思いますし、あの難しい試合を90分間プレーしたことによってルガーニ本人にとっても大きな経験になったと思います。
      キエッリーニが万全に状態でなく、バルザーリやベナティアが怪我で起用できないことを考えると今後ルガーニの働きは大きなポイントになりそうですね!

      あと個人的にはピアッツァが復帰したら昨日の試合以上に3トップのオプションに大きな可能性を感じますね!

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  • 確かにそろそろサイクルが大きく変化しそうです
    ブッフォン、バルザーリ、キエッリーニといなくなったとしたら
    ボヌッチがユヴェントスの模範的な選手になるのでしょうね。
    ブッフォンのキャプテンシーを多く受け継いでもらいたい

    またトリノダービーで発奮して全力のユヴェントスを見たいものです

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    • セビージャ戦を乗り越えたので、ザグレブ戦後のトリノダービー、ローマダービーに向けてコンディション調整を行って欲しいですね!

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    • コメントありがとうございます!
      ブッフォンが引退した後にピッチレベルで誰がチームを「グループ」として結束させる役割を果たすのかには注目ですね。ボヌッチやマルキージオあたりになってくるんじゃないでしょうか。

      また今後の日程に関して勿論トリノダービーも大事な試合ですが、その前の週のアタランタ戦、そしてミッドウィーク開催のディナモ・ザグレブ戦で勝ち点を落とさないことにも注意する必要がありますね。
      正直12月は日程面で余裕が多少ある割にはハードなゲームが続くと思いますが、アッレグリ監督が手腕に期待したいものです!

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