コラム : ロベルト・マンチーニの危険性
2014/11/18
つい先週、11/14にインテルのワルテル・マッツァーリ監督が解任された。そして、その同日インテルはロベルト・マンチーニ監督就任を正式発表した。ロベルト・マンチーニ監督は誰もが知る通り、過去にインテルを率いた経験を持ち、尚且つスクデット3回にコッパ・イタリア2回と素晴らしい成績を残している名将である。
このマッツァーリ監督の電撃解任とマンチーニ監督の電撃就任は、ブッフォンが表現するように、まさに「青天の霹靂」だったと評するしかない。ユベンティーノにとっては、イタリアダービーの相手でもあるインテルの失速について、一種の寂しさを覚えつつ安堵感もあったかもしれない。カルチョの世界では、監督の途中解任はもはや見慣れた光景であるが、これまでナポリで力を発揮してきたマッツァーリ監督は、喘ぎながらもなんとかシーズン終了まで務めるのではないかと想像していた人もいたことだろう。しかし、経営者であるトヒル会長は、危機感を感じすぐに行動に移したのだ。
インテリスタにとって、マンチーニ監督への期待は計り知れない。ここ数年でインテルが完全に低迷路線に移ったことを認識させられたインテリスタにとって、インテルの勝利を知る監督が就任することに多大な期待を寄せることは自然なことだろう。カルチョにおいて、およそ230試合の采配を行ってきた中で、勝率62%を達成している監督は、正直なところユベントスにとって怖い存在だ。低迷しつつあるインテルに光が差したことで、シーズン途中からの巻き返しが起こるとすれば、それは怖い。ユベンティーノとしても、マンチーニ監督の力に疑いが無いこの感覚には、思わず不安を感じてしまう。
就任のタイミングとしては、EL出場権はもちろんのこと、CL出場権もまだ十分可能性が考えられる状況でのトヒル会長の判断は正しかったかもしれない。また、セリエA第11節を終えて代表ウィーク中での監督を行ったことで、次節までのある程度の時間が確保できる。それに加え、インテルは次節、ミラノ市民の祭りともいえるミラノダービーを迎える。トリノをホームタウンに持つクラブにとっては蚊帳の外かもしれないが、インテルがここで勝利を挙げれば勢いづくのは言うまでもない。
しかし、本当に怖いのは今季ではない。
来季以降、ビッグネームが集まるといわれるマンチーニ監督の下で補強を行い、しっかりとしたチーム作りを行うことができれば、来季には姿が変貌する可能性は高い。もちろん先のことは予想がつかないが、少なくとも現在イタリアでダントツの強さを証明しているユベントスを脅かす存在になる可能性は十分ある。しかし、かつてのイタリアサッカーの象徴でもあったユベントス、インテル、ミランのこの3つのクラブによるスクデットレースを再び見たい気持ちもある。マンチーニ監督がイタリアサッカー全体にもたらすポジティブな影響には、ユベンティーノとして期待したいところ。
By Juventus Journal
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