コラム:氷山の一角 シリーズ2 | ページ 4 | ユベントス・ジャーナル

コラム:氷山の一角 シリーズ2

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 もちろん、ユベントスが完璧な「白」かと問われれば、ひいき目に見ても「白」ではない。しかし、このインテルの当時の新旧会長の盗聴記録を読んでも、尚「ユベントスだけが悪なのか」を問いたい。

 彼らはカルチョ・スキャンダルによって17シーズンぶりとなるスクデットを獲得しているのは、これらの事実とともに皮肉ながら揺るがない歴史となっている。

 前回のコラムでも書いたが「カルチョ・スキャンダル」の5年と数ヶ月後にインテルが「黒」と認められながら「公訴時効*」を理由に「白」と言い渡されているのを改めて書き記したい。(*刑事事件における時効の名称)

 そして主犯格とされた元ユベントスのGMルチアーノ・モッジ、元代表取締役のアントニオ・ジラウドらは2015年3月イタリア最高裁より「スポーツ犯罪を行なっていない」という無罪判決を下したのは周知の事実となっている。

 時は流れ、ミラノの青と赤はイタリアのクラブでありながらイタリア人のクラブではない。インテルは2013年11月、クラブの株式の70%を取得し、筆頭株主となったインドネシアの実業家のエリック・トヒルが会長に就任。

 ミランは2017年に31年間のベルルスコーニ会長時代が終焉を迎え、日本円にして888億円で中国人実業家リー・ヨンホン氏の手に渡った。イタリアサッカー界を牽引してきた北の“ビッグ3”の中でイタリア人オーナーはユベントスだけになった。

 そのことをユベンティーノたちは誇りをもって訴えている。日本時間2017年12月10日にアリアンツ・スタジアムで開催されたインテルとの“イタリアダービー”でゴール裏のティフォージは大きな旗を掲げた。

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 「賢者は言った『(イタリアに)中国が迫っている、しかし(イタリアは)蜃気楼だった』と記し、『ミラノの2チームが中国資本の手に渡ってもイタリアはユベントスが守ります』」と誓ってみせた。

 今回の「氷山の一角」はユベントスの無実を晴らすべく、書き記したのではない。多くのユベンティーニに「反論」の要素を持って頂くべく記したことをお伝えしたい。

 カルチョ・スキャンダルはイタリアサッカー界の腐敗であり、根腐れした結果が欧州の舞台においてのカルチョの凋落。

 そして待っていたのが60年ぶりとなるワールドカップの予選敗退ではないだろうか。

 良くも悪くも、現在のサッカー界は天文学的な金額が動く市場となった。だが、かつて故・ジャンニ・アニェッリは、シルビオ・ベルルスコーニ、マッシモ・モラッティのように大金を支払う選手獲得を激しく嫌悪したことを思い出して欲しい。

 その伝統に背くことなく、現ビアンコネーロの経営陣も堅実な運営でイタリアの絶対王者の地位を守るとともに、欧州においてもカルチョの誇りを維持している。

 そして現在の“王朝”の礎を築き、チェルシーを率いプレミアリーグ制覇も成し遂げたアントニオ・コンテは、映画のワンシーンで「ユベントスのシャツは重い」とコメントしている。

 「FINO ALLA FINE」

 脈々と受け継がれてきたユニフォームの重さと言葉の重さを噛み締めて、フロント陣は伝統を重んじ、選手たちはピッチに立ち、世界中にいるユベンティーニはこれからも声を枯らすだろう。

『コラム:氷山の一角 シリーズ1』を読む

翻訳:Juventus Journal イタリア局 Norihito Miyagi
構成:Juventus Journal  @JJ
著者:Juventus Journal 編集部 山口 努

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