コラム:名門復活に導いた進化 | ユベントス・ジャーナル

コラム:名門復活に導いた進化

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 セリエA6連覇、コッパ・イタリア3連覇。UEFAチャンピオンズリーグ(CL)においては3年間で2度のファイナリスト。ユベントスは見事なまでに「名門復活」をなし遂げている。

 その浮ついた、どこかにあった慢心に水をかけられた気分だろう。ユベントスは今シーズンのセリエAで初の黒星を喫した。相手は“お得意様”だったはずのラツィオに2002/03シーズン以来、14年ぶりとなる敗戦だった。

 それも2015/16シーズン開幕戦以来、難攻不落の要塞と形容しても過言ではないアリアンツ・スタジアムにおいて782日ぶりに敗れたわけだから、泣きっ面に蜂といって言い過ぎではない。

 ラツィオは素晴らしかった。強者に勝つべくシステムと戦術でセリエAの盟主に挑み、王者を攻めさせて、手詰まりにさせ、カウンターから2得点を奪い、運すらも引き寄せてみせた。

 アントニオ・コンテがユベントスを率いたときのそれとあまりに類似しているのは少数派の意見ではないだろう。3枚の屈強なCBを置き、5人のMFは気の毒なほどに上下運動を繰り返す。

 MFアンドレア・ピルロほどの才能はいなくとも、コンテ時代に欠けていた強力なCFチーロ・インモービレがいる。このユベントスのプリマヴェーラで育ったFWは流浪の旅を続けたが、シモーネ・インザーギ監督の手腕により見事なまでの復活を遂げた。

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 現役時代ラツィオでFWとして過ごし、1999/2000シーズンにはパベル・ネドベドらとともに欧州の舞台でUEFAカップウィナーズカップ(現UEFAヨーロッパリーグ(EL)に統合)、そしてUEFAスーパーカップも制覇した。

 国内では26年ぶりとなるセリエA制覇とコッパ・イタリア制覇とクラブ史上初の2冠達成に貢献している。兄フィリッポほどの才能に恵まれなかったものの、ベンチでも腐らずにチームを支えたことはオールドファンならば共通の認識となっているはずだ。

 つまり、シモーネは耐えることを知り抜いている。それらの経歴と姿勢を評価されラツィオのユース世代の監督に招かれ、今日に至るわけだが、忍耐という目に見えない能力が遺憾なく開花しているといっても過言ではない。

 ELでは2戦2勝、国内ではアウェイで王者ユベントスを下し、順位を4位にまで上げている。スーペルコッパ・イタリアーナ前にはマッシミリアーノ・アッレグリの後任監督に、シモーネの名が上がったほどだ。

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 話は逸れたが、ラツィオが用いた3-5-2のシステムで強者を迎え撃つ姿勢は現在のユベントスに欠けている要素と言えなくはない。必要なのはコンテ・ユベントスの懐旧ではなく、常に挑戦者でありつづける謙虚さではないだろうか。これは「名門復活」の弊害と言えなくない。

 アッレグリも「スペースでうまく連動する組織されたチーム」と認め、敗戦に関しては「2つのゴールをあまりにも簡単に献上してしまったことに失望している。どちらのゴールにも強くいくことができなかった」と公式サイトで話している。

 「強くいく」に着目すると、やはりディフェンス面の強度を求めていることを示唆するものだろう。2失点の責任はチームの連動性の悪さにあり、とくに顕著だったのはMFとDFのスペースを広大に空けてしまったことが要因として挙げられる。

 ロドリゴ・ベンタンクール、サミ・ケディラ、ブレーズ・マテュイディといった中盤の選手たちがラツィオ陣内に入ってからボールを狩りにいく姿勢は、集団としてよく訓練されていた。

 ラツィオ戦の敗因として、あまりに浅はかな縦パスがラツィオの守備陣を助けたのは否めないし、4-3-3のシステムがフィットしているとは言いがたい。また、4-3-3のシステムではユベントスの才能たちを活かしきれてないのも少数派の意見ではないはずだ。

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 もちろんMFミラレム・ピアニッチの負傷離脱も大きいが、彼がいない局面も今後出てくることを考えると、慰めにはならないだろう。だが、同時に楽しみなのは、敗戦後のアッレグリの進化という名のバージョンアップだろう。

 これまでチームに停滞感を感じると、見せしめのような布陣で敗北し、次戦で新システムを披露してきたのは周知のとおりである。ユベントスは日本時間19日3:45にはCLを控え、勝ち点「3」で並ぶスポルティングCP戦を迎える。

 アッレグリの進化が見られるか期待したいが、まずは勝利でチームに自信をつけて貰いたい。敗北は課題を得られ、勝利は自信を得られるのはサッカーに限らず、スポーツ界の常である。ラツィオ戦の敗戦からアッレグリ・ユベントスが何を得たのか、に期待したい。

 アッレグリはCLを戦った7シーズンでグループステージ敗退はないが、今シーズンでその記録が止まる可能性は否定できない。セリエAでも順位を駆け上がることはあっても、今シーズンのように落ちることはなかった。

 それでもアッレグリに期待できるのは、これまでの進化があまりにも艶やかで、華のある変化だったからではないだろうか。まだ10月に、下を向くにはあまりにも早すぎる。

 これまで名門復活に導いてきたアッレグリの進化をみてからでも遅くはない。

 著者/Juventus Journal 編集部 山口 努

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コメント

*コメントは全て承認制です。確認にお時間を頂くことも御座いますがご了承ください。
  • ラツィオはビエルサ監督が就任しなくて良かったかもですね
    ここまで素晴らしい監督になるとは・・・。
    守備はデシリオやヘーヴェデスが復帰してどうなるかが見たいです。
    あっというまの怪我でハマるかどうか分からなかったですから。

    新布陣あるかもですね。

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