コラム:ユベントスの背番号「10」の因果 | ユベントス・ジャーナル

コラム:ユベントスの背番号「10」の因果

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 フィオレンティーナから鳴り物入りでユベントスに入団したロベルト・バッジョはユベントスより背番号「10」を託され、1992/93シーズンにUEFAカップ制覇に貢献。ミッシェル・プラティニ以来となる欧州のタイトルをユベントスにもたらした。

 その活躍が認められ、この年のバロンドールを獲得している。プラティニのようにチームに多くのタイトルをもたらしてくれると思われたが1994年にアメリカで開催されたワールドカップを境に突然終わりを迎える。

 酷暑での激闘に加え、準優勝で終えた精神的なショック。古傷の悪化がパフォーマンスを低下させ、試合の欠場が目立ちはじめる。するとユベンティーノたちは新たなスターを望むようになる。

 まだ背番号が登録制ではなかった頃、背番号「16」を背負った若きジョカトーレがユベントスを牽引した。足にはソックスを止めるための紐が垂れ下がり、弱冠21歳の若き日のアレッサンドロ・デル・ピエロがそこにいた。 

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 バッジョがミランへ移籍した1995/96シーズン、空き番号となった背番号「10」をデル・ピエロ自身がサッカーを始めたころから夢みたユベントスの「10」に袖を通すこととなる。

 そのシーズンにUCL制覇を成し遂げているのは、なんとも数奇な運命といえるだろう。補足ながらUCL(欧州チャンピオンズリーグ)にデビューするとそこから5試合連続で得点している。

 この記録は未だ破られていない。余談ながら昨シーズンにモナコのFWキリアン・ムバッペが4試合連続得点を記録したことをみると、デル・ピエロの才能の高さを垣間見ることができるはずだ。

 ユベントス背番号「10」の責任感が、自身の夢の到達が、デル・ピエロを押しも押されもせぬユベントスのエースにした。その責任感がどれほど大きな変化をもたらすのかどうかは、背負った当人たちにしか決して分かるはずがない。

 しかし、ユベントスで背番号「10」を背負った選手は皆、チームの勝利に貢献してきたのは紛れもない事実だろう。現在背番号「10」を背負うFWパウロ・ディバラは、デル・ピエロとMFアンドレア・ピルロを愛し、ユベントス入団時は「21」を選択。

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 この夏にチーム側から背番号「10」を打診され、満を持してその重責を担っている。神経が図太そうにみえたあのMFポール・ポグバでさえ、その重責に苦しんだがディバラは今シーズン公式戦3試合で6回もネットを揺らし、ユベンティーノを熱狂させている。

 背番号「10」を背負った1シーズン目にデル・ピエロは欧州制覇を成し遂げた。この功績とディバラを重ね合わせるのは早計だが、奇妙な偶然を信じて今シーズンのユベントスをみる価値はあるだろう。

 昨シーズンのUCL決勝戦で涙に暮れたユベンティーノだが、今夏の補強には及第点を与えても良いのではないだろうか。獲得に至らなかった選手たちには至らなかった理由があり、フロントの意思を尊重すべきだろう。

 レアル・マドリードとの敗戦でみえた敗因を断言はできなくとも、選手層の薄さによる選手の疲弊、チームの空中分解が挙げられるだろう。ユベントスは今夏、各ポジションに的確な補強、不満分子の放逐(ほうちく)をしている。

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 今夏のメルカートで上記の2点を成し遂げただけでも大きな成果であり、公式戦3試合でまだ試していない才能の存在を考えると楽観視できなくとも、格段のベースアップには成功していると言っていいはずだ。

 だが、これで今シーズン22年ぶりとなる欧州制覇をもくろむべきタイトルレースに加わったか、と聞かれれば安易な答えは禁物だ。その答えは現地時間9月12日のUCLグループステージ第一節のバルセロナ戦での戦いが今後を左右するはずだ。

 今夏にFWネイマールが去ったチームとはいえ、今シーズンを占う上で重要な試合となるのは言うまでもない。敵地カンプノウで負けることなく90分を終えることができれば、大きな野望をもつことを許されるチームとなるはずだ。

 思い返せばユベントスが近年、欧州制覇に近づきだしたのは3年前の2014/2015シーズンになる。奇しくも当ユベントス・ジャーナルは9月2日に3年目を迎えた。本家ユベントスほどの右肩上がりの曲線を描けなくとも、読者の皆さまに支えられ、ファンは徐々に増えていると聞く。

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 その3年前のシーズンといえば、マッシミリアーノ・アッレグリが監督に就任し、ピルロ、MFアルトゥーロ・ビダル、FWカルロス・テベスを擁し、12年ぶりにUCL決勝戦まで登りつめた、現在のユベントスの礎を築いたあのシーズンだ。

 それからのユベントスは、セリエAのタイトルとコッパ・イタリアのタイトルを防衛しつづけている。UCLでは2回も決勝戦まで登りつめ、近年でいえば驚異的なクラブであることを世に示している。

 だが、悲願の欧州制覇まであと一歩及んでいない。その一歩を今シーズン新たに踏むことができるか否か。ユベントス・ジャーナルが創設3年目ならば今シーズン「三度目の正直」という験(げん)にあやかりたいものである。

 著者/Juventus Journal 編集部 山口 努

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コメント

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  • 山口さん、いつも元気をあたえてくれるコラム、本当にありがとうございます。
    85年、トヨタカップのプラティニの寝そべり、忘れられません。かっこよかった。
    DybalaにはJuventusのリーダー、世界トップの選手に成長してもらいたいですね。
    Platini、Baggio、Del Piero、Zidan、Pogbaのように。
    我らがJuventusでは、それが可能ですね!
    一部けが人が出ていますが、カバーしあって頂点に向けて頑張ってもらいたいですね。

    それにしても、Isco Alarcon、凄かった。

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