コラム:ユベントスの宝石 | ユベントス・ジャーナル

コラム:ユベントスの宝石

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 8月9日(日本時間の10日)、ユベントスに新たな「10番」が誕生した。若手発掘で定評のあるパレルモから2015-16シーズンに加入したFWパウロ・ディバラ(23)だ。

 人々に人情味が溢れ、プレッシャーの少ない南イタリアの地で頭角を現したアルゼンチンの若者は、ユーベ加入直後もその存在感を発揮。僅か2シーズンで、誰もが認める実力を得意の左足から繰り出す多彩なプレーで証明した。まさに「10番」にふさわしい活躍だったと言っていい。

 黒と白に身を包む“イタリアの老貴婦人”における背番号10の系譜には、偉大な選手達が名を連ねる。オマール・シボリ、ミシェル・プラティニ、ロベルト・バッジョ、そしてアレッサンドロ・デル・ピエロと、ユーベの歴史を築いて来た選手ばかりだ。

 近年では、FWカルロス・テベスが2013-14シーズンから2年間、MFポール・ポグバが15-16シーズンに着用してプレーしたが、いずれもチームを去っていった。

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 それでもビアンコネーロの「10番」が、常に特別な背番号であることに変わりはない。その番号を、今年4月に2022年までという長期契約を交わしたディバラに託したということは、ユーベにとって彼が重要な存在であるということの証明であり、将来への期待の表れでもある。バルセロナが獲得に興味を示していると報じられる最中の決定だっただけに、ティフォージ(ファン)にとっては衝撃と喜びに満ちた発表となったはずだ。

 「10番はディバラへ」というタイトルで公式からニュースがリリースされた直後、デル・ピエロからディバラへ、自身のtwitterを使って激励のメッセージが贈られた。

 「ディバラ、幸運を! 真のユベンティーノとして、そのユニフォームを楽しめ! そして、僕らを沸かせてくれ!」(デル・ピエロ「楽しんで!」)

 「デル・ピエロに憧れていた」と話すディバラが、期待を胸に辿り着いた北イタリアの古都で、ビアンコネーロの偉大な「10番」を纏う。憧れの存在であり、未だチームのバンディエラ(象徴)としてユベンティーニから愛されるデル・ピエロが受け継いで来たユニフォームの重みは、十分に理解しているはずだ。

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 過去に2度、ユベントスが掲げたビッグイヤー獲得の際には必ずプラティニ(1984-85)やデル・ピエロ(1995-96)といった、絶対的な「10番」がピッチに立っていた。

 また、プラティニ在籍時には3シーズンで2度(1982-83、84-85)、デル・ピエロ在籍時には3シーズン連続(1996〜98)でチャンピオンズリーグ(CL)決勝の舞台に進出している。

 今後、ユベントスが本当の意味で欧州トップの座に返り咲き、現在のレアル・マドリーやバルセロナのようにサッカー界を牽引する存在となるには、21年間遠ざかっているCLのタイトルと、そこで活躍する「10番」の活躍が必要不可欠だろう。

 そのためにも、試合を決定づける才能を持ったディバラのようなフオリクラッセ(規格外の選手)をチームから手放してはいけない。

 「より高みを目指すなら、チームを変えなければならない」と、昨季在籍していたダニ・アウヴェスがディバラに話をしたと公言していた。その発言は適切ではなかったが、裏を返せばダニが、ディバラを“大きな才能を秘めた選手”だと評価しているということだ。様々なクラブがディバラ獲得に興味を示していたこともその裏付けと言える。

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 昨季のCL決勝の舞台では、チーム史上12度目のCL制覇と、史上初の連覇を狙うレアル・マドリーを相手にディバラ自身も本来のパフォーマンスを発揮することが出来なかった。あるジャーナリストは、「サッカー界で23歳は決して若い選手ではない」と言い、「若くして結果を残してきたリオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドには遠く及ばない」と否定的な見解を示した。

 とはいえ、プロビンチャ(中小クラブ)からイタリアのビッグクラブにやって来た若者が、加入2年目で、悲願の欧州タイトルへの期待を周囲から背負い、初めて立つCL決勝のピッチで感じたプレッシャーは計り知れないものがあったはずだ。

 C・ロナウドのような恵まれた体格やメッシのような力強い突破力は持ち合わせていないが、ディバラが選手として傑出した才能を秘めていることは決して変わらない。今後の経験や成長を踏まえて評価をする必要があるだろう。

 有利なスペースを見付ける空間認識能力、プレーと連動した腕や身体の使い方、コントローロ・オリエンタート(方向付けをしたトラップの置き所)、素早い判断能力などは、サッカーの原理原則、いわゆる基礎技術がしっかりと身に付いている証拠であり、すべての選手が備えているわけではない。更にピントゥリッキオ(繊細な筆のタッチを得意としたイタリアの画家)に例えられたデル・ピエロのような柔らかいボールタッチで、観るモノを魅了する。

 16−17シーズンのCLバルセロナ戦ホームでの1stレグで決めたチームの1点目は、パウロ・ディバラという選手の才能が十分に際立つゴールだった。

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 ユベントスでは2シーズンで、公式戦94試合42ゴールと素晴らしい記録を残している。また敗れはしたものの、「10番」のユニフォームで初の公式戦となった8月13日(日本時間の14日)のスーペル・コッパ・イタリアーナでは、ラツィオを相手に華麗なFKと落ち着いたPKで2得点を上げた。

 そのラツィオ戦後、ディバラは敗戦の悔しさを噛み締めながらも「10番」への思いとユーベでの今後を語った。

 「バルセロナのことも、他のチームのことも考えない。自分自身で決め、決断を下した。ユーベが望むなら、僕は常にここに残るよ。3カ月前に契約を延長したし、僕に『10番』を着ないかと尋ねてくれた。ユーベでとても幸せさ。僕はまだ若いから、ここでもっと成長したい」

 ユベンティーニは、チームに忠誠心を持った選手を常に愛している。きっと多くのファンが、ディバラをデル・ピエロと重ね合わせ、次世代のバンディエラとなることを心から願っているだろう。そして彼は、それに値する稀代の才能を秘めている。

 「10番」を背負うパウロ・ディバラのカンピオナートが、いよいよスタートする。

 “La Joya(ラ・ホヤ:宝石)”の愛称と共に、ビアンコネーロを勝利へ導く一挙手一投足が、世界を驚かせるシーズンになるかもしれない。

 著者/Juventus Journal イタリア局 Norihito Miyagi

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コメント

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  • 今シーズンは貴方のシーズンになることを切に願います。

  • ロナウドやメッシが凄すぎで、影に隠れがちだけど間違いなくバロンドール級の選手だと思う

  • いよいよですね。ユーヴェの新な攻撃陣を牽引する活躍を期待します。